「満室」は、ひとつの台帳ではない
おわら風の盆の宿を調べ始めると、まず目に入るのが「満室」の文字です。八尾の宿の空き状況は、一冊の台帳で管理されているわけではありません。予約をいつから、どこで受けるかは宿ごとに違います。窓口ひとつとっても、LINEの宿もあれば公式サイトの宿もあります。
つまり、ある案内で見た「満室」は、その案内が把握している範囲での話です。まだ受付を始めていない宿は、そこには空きとしても満室としても現れません。取れないと感じる第一の理由は、探す先が一か所に集まっていないという構造にあります。
日程が動かないから、需要は同じ三日に重なる
第二の理由は、祭りの側にあります。おわら風の盆は毎年9月1日から3日と決まっていて、日程は年によって動きません。泊まりたい人の希望は、この三日にそのまま重なります。
いっぽうで、八尾の宿は数が多くありません。同じ三日に希望が集中し、受け皿は限られている。これはその年の運や動き出しの遅さの話ではなく、毎年くり返される形です。
埋まる順番には、理由がある
第三に、宿は一斉に埋まるのではなく、順番があります。この祭りのいちばん深い時間は、宵の人波が引いたあとの深夜にあり、その時間に町へ残れるのは歩いて宿へ戻れる人だけです。だから、埋まる順は祭りとの距離で決まります。
- 深夜の通りから、自分の足で戻れる距離にある宿
- 窓やベランダから、町流しの通りを見下ろせる宿
- 交通規制の外に車を置いたまま、歩いて祭りへ出られる宿
祭りの期間だけ受け方を変える宿もあります。たとえば八尾の風の宿 分館は、ふだんはフロア貸しですが、おわらの三日間は部屋単位で受けます。「満室」の一語の裏側では、宿ごとに違う速さで扉が閉まっていくのです。
構造がわかれば、動き方は決まる
三つの構造を裏返すと、動き方が見えてきます。受付の窓口が宿ごとに違うなら、まとめの案内ではなく、泊まりたい宿の案内を直接見に行くこと。日程が動かないなら、来年の三日間は今から予定に入れられること。埋まる順に理由があるなら、深夜まで居たいのか、車を置きたいのか、自分の優先を先に決めておくこと。
富山市内に泊まって通う、という定番の代案はもちろんあります。ただしその旅程には、帰りの列車から逆算した枠が最初から入ります。「満室」は宿の状態ではなく、探し方と時期の結果です。構造を知ったうえで探すかどうかで、同じ三日間の見え方は変わります。
よくある質問
- おわら風の盆の宿はなぜどこも満室なのですか?
- 探す先が一か所に集まっていない、日程が動かず希望が同じ三日に重なる、埋まる順番がある、という三つの構造が理由です。ある案内で見た「満室」はその案内が把握している範囲の話で、まだ受付を始めていない宿はそこに現れません。
- おわら風の盆の宿はどこから埋まりますか?
- 祭りとの距離の順です。深夜の通りから自分の足で戻れる距離にある宿、通りを見下ろせる宿、交通規制の外に車を置いたまま歩いて祭りへ出られる宿から埋まっていき、宿ごとに違う速さで扉が閉まります。
- おわら風の盆の宿が取れないとき、どう動けばいいですか?
- まとめの案内ではなく泊まりたい宿の案内を直接見に行き、深夜まで居たいのか車を置きたいのか自分の優先を先に決めておくことです。日程は毎年9月1日から3日と動かないので、来年の三日間は今から予定に入れられます。