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氷見うどん、油を使わず捻って延ばす250年の手延べ

冷たく締めた氷見うどん。細いのにコシが強い 写真: ナイトキャビン(CC BY 4.0)
冷たく締めた氷見うどん。細いのにコシが強い 写真: ナイトキャビン(CC BY 4.0)

椀の中の麺は、素麺かと見まがうほど細く、つやがあります。ところが箸で持ち上げて口に運ぶと、見た目を裏切る強いコシが返ってくる。細い麺が、なぜこれほど強いのか。答えは、氷見の職人が守ってきた延ばし方にあります。

油を塗らず、捻って延ばす

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氷見うどんは、稲庭うどんと同じく、油を塗らずに延ばす手延べです。そのうえで氷見では、生地に手で捻り(ヨリ)をかけながら延ばしていきます。撚られた生地は細くなりながら締まり、麺の芯に強さが仕込まれていく。細麺なのに強いコシと粘りがあり、もちもちとして、のどごしはなめらか。椀の中のあの手ごたえは、この延ばし方の産物です。

ひと口すすってみてください。細さから想像する頼りなさはどこにもなく、噛むほどに押し返してきます。麺の強さとは太さのことではない——箸の先が、そう教えてくれます。

加賀藩御用、250年余の系譜

この延ばし方のルーツは、能登の輪島にあります。輪島の素麺づくりの技術が、江戸時代の中ごろに氷見へ伝わったとされ、以来250年を超えて受け継がれてきました。もとは「糸うどん」と呼ばれ、加賀藩御用を務めたと伝わります。藩の御用がどれほどの格式だったかを思えば、細い一筋に折り込まれた手間の量も想像がつくでしょう。

夏は冷たく、冬は温かく

氷見うどんの食べ方に、決まりはありません。細麺だけでなく太麺やそうめん状の麺もあり、季節に合わせて表情を変えます。

  • 夏は冷たく。冷水できりりと締めると細麺のコシが際立ち、つゆをまとってするりと入ります。
  • 冬は温かく。熱いつゆの中でもコシが残り、最後のひと口まで麺の輪郭が崩れません。
  • 乾麺があるので、旅の荷物に入れて持ち帰れば、家の鍋で氷見の続きを楽しめます。

秋が深まり、氷見の海が冬へ向かうころなら、選ぶのは迷わず温かい一杯です。湯気の向こうで細い麺が泳ぎ、すすり込めば、湯気ごと体があたたまる。250年続いてきた理由は、結局この一杯の中にあります。