三世代の旅には、三つの時計がある
祖父母と親と子どもの旅で難しいのは、行き先ではなく時計です。早く目が覚める人、夜更かししたい人、昼寝の要る人。三つの時計をひとつの旅程に押し込むと、誰かが誰かに合わせ続けることになります。
古民家の一棟貸しがこの旅に向くのは、時計を合わせなくていいからです。同じ家の中に、別々に過ごせる場所と集まる場所の両方がそろっているか——三世代の旅で見るべきなのは、そこです。
部屋割りは世代ではなく、時計で決める
祖父母の部屋・親の部屋・子どもの部屋、と世代で切ると、夜に困ることがあります。幼い子は親と眠りたがり、祖父母は孫と枕を並べたがる。おすすめは、眠る時刻と起きる時刻で分ける部屋割りです。
- 早く寝て早く起きる人どうしを、ひとつの扉の内側にまとめる
- 夜更かしする大人の部屋は、早寝の部屋から廊下ひとつ離す
- 階段が気になる人の部屋は、階段を使わずに済む側に
扉で閉まる個室が複数あり、大きさに幅がある家なら、この割り方が成り立ちます。八尾の風の宿 本館なら、4人部屋2室・3人部屋1室・2人部屋3室の6室がすべて扉つきの完全個室。祖父母は2人部屋で静かに、親子は4人部屋で川の字に、という分け方ができます。
逆に、お宿風音の座敷の間のように畳にお布団を並べて六名までひと間で泊まれる部屋なら、全員でひと間に眠る夜を旅の目当てにする手もあります。祖父母と孫が同じ部屋で眠る夜は、家ではなかなか作れない時間です。
台所と座敷が、時計の差を吸収する
朝いちばんに目が覚めた人が、家じゅうを起こさずに湯を沸かせる。早起きの祖父母が朝ごはんの支度を始め、遅れて起きた子どもがその匂いで台所へ来る。
床の間と欄間のある座敷は、椅子の数に縛られない集まる場所です。座る人、寝転ぶ人、膝の上に乗る人が同じ畳に収まります。襖を外せばひと続きの広間になる続き間の造りなら、昼は全員で食卓を囲み、夜は襖を閉てて別々に眠る使い分けができます。
同じ家の中で、別々に過ごしていい
三世代の旅の利点は、無理に一緒にいなくていいことです。孫と遊び疲れた祖父母が座敷で横になるあいだ、親は子どもを連れて、町家なら廊下の先の坪庭を覗きに行く。別々に過ごす時間があるからこそ、集まったときの顔が明るくなります。
三世代で古民家に泊まるなら、部屋数の前に、扉と台所と座敷を見てください。三つの時計を一つに合わせなくていい家が、いい家です。