人数が増えるほど、旅は「ばらける」
十人を超える旅で最初に起こるのは、ばらけることです。部屋が三つ四つに分かれ、集まるには時刻を決めてロビーへ降りていく。食事は大人数の席を探すところから始まり、夜は部屋ごとに解散です。全員で来たはずなのに、一緒にいるのは移動中と食事中だけ、ということが起こります。
人数がまとまるほど一棟貸しの古民家に分があるのは、ここです。ひとつ屋根の下に全員がいて、しかも扉で仕切られた部屋がある。ばらけずに、散らばれる。この両立が、大人数の旅で効く利点の中身です。
ひとつ屋根の下に、閉まる扉がある
大人数の旅は、たいてい小さな単位の寄り合いです。夫婦、親子、友人どうし、ひとりで加わった人。一棟貸しの古民家で見ておきたいのは、部屋が扉で閉まるかどうかと、部屋の大きさに幅があるかどうかです。
たとえば八尾の風の宿 本館は、明治十年の町家を再生した一棟貸しで、4人部屋が2室、3人部屋が1室、2人部屋が3室。6室すべてが扉で仕切られた完全個室で、最大17名が泊まれます。単位ごとに扉の内側を持ちながら、廊下に出れば全員が同じ家にいる、という形です。
大人数のこつは、次の三つを着く前に決めておくことです。
- 誰と誰が同じ扉の内側で眠るか
- 何食を台所でつくり、何食をまちで食べるか
- 全員が集まる場所と、集まる合図
台所が、大人数の食事問題を解く
大人数の旅でつまずくのは食事です。十数人がひとつの卓に着ける店は多くなく、見つかっても時刻に縛られます。台所つきの一棟貸しなら、この問題は宿の中で片づきます。人数が多いほど手も多く、支度そのものが旅の一場面になります。
決まった時刻の食堂がない素泊まりなら、台所と食卓を自分たちの時間で使えます。鍋を囲む夜も、翌朝の米を炊く当番も、人数がそろっているからこそ成り立ちます。
集まる場所があるから、散らばっていい
最後に見るのは、全員が集まれる場所です。一棟貸しなら居間や食卓のまわり。本館なら廊下の先に坪庭もあります。一棟でなくても、風の宿 分館のようにフロアを借りる形(最大11名)なら、一人ずつの寝床「木箱の間」7室と扉つきの個室に分かれて眠り、二階の共用ベランダとラウンジに全員が集まる、という組み立てもできます。
個室に散らばり、台所で手を出し合い、集まる場所でまた顔を合わせる。大人数で富山に泊まるなら、部屋数を数える前に、この三つがそろっているかを見てください。